30㎡幸福論 / 8ninriki.jp
Reserch


2016.02.5
30㎡_002
30㎡幸福論


writer
岡本つよし

「30㎡は埋まらない」

過日、賃貸不動産業者と話した会話ひとコマです。

 

リクルート総研によると賃貸市場のメインターゲットは20〜30才代。
そこの可処分所得を踏まえるに賃貸仲介のお約束は20㎡と50㎡が軸。
20代であれば20㎡のワンルームで充足。
少し余裕ある若年単身or当面Dinksな層は50㎡で充足。
しかし東京大阪も同じく、賃貸経営的に苦戦するのが「築古30㎡」
ココはひとつ、、若年層流入が全国屈指な福岡エリア故に考察したい。

 

自分自身、6畳敷共同水回り会社寮⇒20㎡⇒30㎡⇒50㎡な過去の賃貸生活を踏まえる見事に当て嵌まる。
確かに。。使い勝手悪いのは「30㎡」というのも腑に落ちる。
その昔、上階居住の個人オーナー事後承諾的なDIYで遊ばせて頂いたのも「30㎡」。
念のため説明致しますと30㎡の賃貸イメージは「ふすまで仕切られた6畳部屋2つ、バストイレ別」という2Kが妥当かと思います。

 

30㎡後半であれば「8畳2つ+水廻り」。歴史的にも住都公団51C 主流ニーズから「もう一回り大きな部屋」といったニーズが浮かび、経済成長期に大量供給された間取り。しかしながら、いまや20㎡あたりのワンルーム派、あるいは50~60㎡あたりの2人生活の狭間にあって、あまりメジャーな部屋面積ではないようです。加えてエレベーターなき築古建物であれば、主たるターゲット層の財布の紐が固いのは明白。すなわち埋まらない⇒賃貸経営が成立しない。

 

で、原因を探ると、20㎡ワンルーム(1人暮らし)や50㎡(2人暮らし)の若年ライフスタイルとは違い、30㎡の生活が想像し難く賃料も中途半端。20㎡や50㎡の案件に比べて人気がないので母数が限られ、現代的なライフスタイルに触れるケースが少ない。故に競争力が低く当時の古い部屋のまま賃料を下げる⇒テナントの質が下落⇒健全な賃貸経営に乗り難い。福岡市内もそうですが、全国的にもこんなスパイラルと思います。

 

四分六の設計

とは言え、 不動産は何もしなければ構造設備といったハードだけでなく、雰囲気や印象(入居者層も含む)、と言ったソフトや周辺地域まで朽ち果てます。収益が伴わなければ、やがて税制的に手放さざるを得なくなるコトはわが国の自明の理。ではどう対処するか。キチンとしたマーケティング、ターゲティング戦略は当然に、ライフスタイルが伝わるような入念なコンセプトの構築、そして「見せる」リノベーションを仕掛けるのが実は効果的。例えば、30㎡にありがちな2部屋を仕切るふすまを全部取り払う。アングル系でシンプルなオリジナルの造作キッチン、ビニル系の安っぽいプリント木目の床仕上げはさすがにやめて、天然無垢材の「本格的な床仕上げ」にする。小さな3点ユニットはシャワールームにし生活面積を広げる。ダクトレールで自由に照明演出。愛用の靴やポスターなどを配置できるよう玄関土間を広くしてあげる(例えば愛用の自転車が1台置ける広さ程度)など。

 

賃貸を商品として捉えるならば「最低」この程度は必要かと。このターゲット層は自分で生活をデザインすることが可能ゆえ余白ある設計、すなわち「工事コスト減」に直結する。このようなリノベーションをしてあげるだけで、入居検討者のなかに潜む「ココに住んでみたい!」といった琴線に届きます。もちろん、戸数、エリア、マーケットやニーズ、ブランディング戦略などで費用は増加します故、工事費以外の経費も掛かります。事業収支を軸に税務戦略、市場動向や事業スパン、借入など事業ファイナンスを周到に考える必要があります。しかし、このあたりを「周到に準備」しませんと単に綺麗になっただけで終了。今や部屋を綺麗にデザインするなら誰でもできるご時世ゆえに、ウケが良いのは最初だけ。早晩マネをし始め競合にさらされる始末。

 

出口戦略@創った部屋を誰に?

ココが事業戦略の肝。想定ターゲットは「ワンルームは狭い、 50~60㎡は自分ひとりには広い」と嘆くワンルーム脱出願望派である20代後半から30代。自立心旺盛な20代後半から30代のシングル層なら、仕事にも慣れ可処分所得も相応。今時の若年層ならば自分なりのセンス・思考を十二分に体得している頃です。仮にこの部屋で仕事をする在宅勤務者の方であれば、全てが手に届く範囲にあって単に広いオフィスより快適な環境にもなります。例えば福岡でIT系&SOHO生活を送る方にとって、頃合い良い面積、無理のない賃料レンジで「目からウロコ」なクリエイティブ空間とも受け止められます。もちろん先述の「周到な準備」がなければ商品としてキビシイ。

 

ツボを押さえたデザインもさることながら、徹底した商品化マーケティング、コンセプトワーク、事業収支戦略、設計施工と広告リーシング戦略という商品事業計画までをキチンとすれば、人気のない30㎡ワンルームは確信に近い程に人気は高まると考えます。

 

「@30㎡」

 

事業者様やオーナー様へ。

ウチは「古い30㎡」。。諦めるには早いのです。

実は「30㎡」は最適なリノベーション案件です!





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