素敵なビル3 / 8ninriki.jp
Reserch


2016.02.29
takahashi_001
素敵なビル3


writer
岡本つよし

階段がイケているビルはイイ建物、という事実と持論がある。(くだりが当メンバー伊藤さんと被った!?)話を「掲題」に戻そう。。。時代背景を読み金主のココロを握ったコルビジェしかり、戦後大阪で大活躍した村野藤吾など「シンプルで素敵な階段」を手がけた建築家は数多と思えど、実はそうお目にかかれない「シンプルで素敵な階段」。そんな中、残念ながら最近に解体されたコンバージョン案件の先駆けであったラティス青山@東京の階段部は結構良かった。安易に躯体絡みは触れられない法的解釈と事業収益性の観点がある中、無名ながら原設計が割りとイケていた意匠だった事、時の経過を感じるエントランスの品格がリーシング上で差別化戦略を図れそうだった件。こんな経緯から殆どそのまま再利用に採択された。(懐かしい10年以上前の旧INAXの資料。ラティス青山の概要はこちらがツボを掴んでいる)

 

で、本件。福岡市内は大濠公園近辺にあるエントランス正面に続く階段室が素敵な低層無名ビル。モルタル壁に木製手摺、床Pタイルというシンプルな構成も上階に誘う光が見事にハマる。歴史的な巨匠建築家らとはケタ違いにコスト掛けずに削ぎ落としたデザインなのは明らかなのですが、それが故の産物なのか、狙い通りなのかは不明なるもミニマルにまとまっている。まあイイ佇まいである。

 

ファサードは高度成長期の本流ともいえるタイル外壁&連装窓。これ謂わば中小の老練ビル社会の「正装スタイル」。今や周辺の高いビル群の狭間にあって低層にまとめられた建物の比率は、他意を介すこと無く図られ続ける独自調和。コレもまた私のような個人事業主の琴線に触れる。鉄アングルながら重い印象が払拭されたエントランスのガラス扉、そこに一歩足を踏み入れ、最上階へと誘う陽光の調和が空間構成として見事。誘う陽光が機運をもたらすのか、実際、選挙のたびに某党専属の選対事務所になるのは冗談か?。いやいや、しっかり不動産事業収益を生む老練ビルとして評価に値するし、ホント運が良いのかも?。昨今、建物の痕跡を一切消し去る厚化粧&整形手術的な1棟リノベーション案件が散見される中 ”このまま使ってもイイね” と思えた程に無名な好素材ビルです。

 

まだまだ福岡には無名な素敵ビルはあります。不動産オーナーさん、古いからと客付けを諦めるにはまだ早い。
ちょっとしたツボを踏まえれば、面白いように老朽ビルは蘇るんです。

 

それはまた、次回以降に。

 

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熟成した階段室。木製手摺と藍色Pタイル、モルタル左官に陽光。これだけで酒のツマミになります。

 





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