ソフィ・カル 最後のとき/最初のとき / 8ninriki.jp
Review


2016.03.6
[03-06]【ソフィカル】トップ画像-3
ソフィ・カル 最後のとき/最初のとき


writer
片岡 佳苗

 

あなたにとって美しいものは何か?

 

これは、ソフィ・カルが出会った、生まれつき目の見えない人々への問いかけである。

 

 

 

春。ここ数年、私は長崎に足が向いている。

今年はいつもより早め。休養と栄養のような時間。

 

[03-06]【ソフィカル】写真00-2

 

この日、長崎は春を祝う祭りで熱を帯びていた。

歩きたい。久しぶりの街に挨拶したいような気持ちだった。

 

長崎に来るときには、いつも訪れている長崎県美術館

 

ここで初めて知る名前と作品はこれまでにも度々あって、そのどれもが強く心に残っている。

この春、また初めての名前に出会った。

 

[03-06]【ソフィカル】写真01-2

 

Sopfie calle(ソフィ・カル) 最後のとき/最初のとき

 

美術館のHPでテーマと、写真と言葉を組み合わせた展示であることを知り、

気になった後姿。でも、それ以上の予習はしなかった。

前置きなしの素直な気持ちで作品を見たい。

 

そんなことを考えて入った展示室。一瞬で張りつめたような空気に取り囲まれた。

この人は、どれほどの綿密な計算をして、この作品を作ったのだろう。

 

よく見る展示のイントロダクション、例えば、主催者の挨拶や作家、展示についての説明は何もなく、白い壁に招き入れられる。

違う。いつもと違う。

入り口にあった作品解説の小冊子を手に持ち、開かないまま歩き進んだ。

 

[03-06]【ソフィカル】裏-2

(長崎県美術館 展示内容紹介資料より)

 

広い展示室に小ぶりなフレームで構成されている。

余白。影。白い線。

空間全体が作品になっている気がして、にわかにどきどきし始めた。

 

 

 

 

ソフィ・カルってどんな人?女性?男性?何歳くらい?

写真ってあったけど、本当に写真?あれ写真に見えない。

そう言えば、報道写真というか新聞のようにも見えてきた。

 

 

 

 

え?フランス語だけ?

 

 

 

[03-06]【ソフィカル】スケッチ-2

 

 

最初の作品。

 

盲目の人々 1986年

私は生まれつき目の見えない人々に出会った。彼らは一度も見たことはなかった。

私は彼らにとって美しいものは何かと尋ねた。

 

日本語の説明はこれだけ。写真とフランス語。光と影。床。壁。天井。

問いかけは、見る人の側にも向けられていた。

 

あなたは、彼らにとっての「美しいもの」とは何だと思いますか?

 

そこにある写真とフランス語を前に集中する。ソフィ・カルは、私に問いかけているのだ。

 

そういうことだったんだ。ああ、そうか。

 

彼らにとっての「美しいもの」を写真とフランス語から想像した時間を終え、作品解説の小冊子を開いた。

彼らの気持ちを受け取り、しばらくベンチに座り込んで、再び作品の前に立つ。

ソフィ・カルの作品を通して、彼らとやりとりしていた。

 

他の作品の前でも同じように過ごし、展示室に入って1時間半以上たっていたことに気が付いた。

 

 

 

美術館を離れ街を歩いていくと、陽が落ち、夜の灯りで通りがにぎやかになっていた。

 

 

[03-06]【ソフィカル】写真03

 

 

[03-06]【ソフィカル】写真04-2

 

歩きながら頭の中で繰り返し考えていた言葉。

展示の後に見たソフィ・カルのドキュメンタリー映像で心に残ったもの。

 

「現実は、どこまで現実なのか?」(を追及する人)

 

ソフィ・カルのことをある人がそう表現していた。

あの作品は、ソフィ・カルがこの世の中で最も「美しいもの」は何か、それを知りたい一心で作ったのではないだろうか。

的外れかもしれない。ソフィ・カルに鼻で笑われるかもしれない。

でも私はこの日、そう強く思った。

 

そして今、ソフィ・カルが考える「美しいもの」が、少しわかったような気がしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私にとって「美しいもの」とは何か。

 

 

 

 

[03-06]【ソフィカル】写真06-2

 

これまで自分の中になかった問いかけが始まった。

 

 

 

 

 

 

あなたは、日々、どんなことを問いかけていますか?

 

■Sophie cllae For the Last and First Time

ソフィ・カル 最後のとき/最初のとき

長崎県美術館

日時:~3/24(月・祝)10:00~20:00(最終入場は閉場30分前)

休館:3/14(月)

※観覧料など、詳細は美術館のHP等でお調べください。

 





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