素敵なビル4 / 8ninriki.jp
Reserch


2016.03.24
101
素敵なビル4


writer
岡本つよし

 

ビルマニアにとって、福岡市内の珠玉エリアのひとつ@福岡市中央区港町
ココに博多漁港を目前として「うだつ」が立派に上がった中小ビルがある。

 

印象としてはかつて居並んだであろう町家(商家)の名残で側面を強調したのかと思い馳せる。そんな中、事情通の方々からエリアの昔話を耳目するに、かつて福博随一の漁港エリアで朝晩激しく海産物を運ぶが故、人荷往来の名残が今なお随所に見られる隅切り道路は時代の産物。また「カッコ付けんと収まらん」的な心意気が支配し、かつての港湾的な超ヒエラルキー世界観もこのビルには投影されてるのかなと勝手な妄想。実際、中世時代から近代に至るまで「建築的な”うだつ”」は日本の階層社会の象徴でもあった訳で近しい理解と再び妄想モード。

 

さてさて、本件のような高度成長期における中小ビルの「ウダツ×タイル系」は当時の中小ビル界ではれっきとした「正装デザイン」のひとつ。くたびれスーツ姿ではなく(笑)パリッとプレスされたスーツに細番手の木綿シャツな扱い。これが昨今残念ながら、かような「正装スタイル」の中小ビルを新築で伺うのは困難を極める。かたや今のタイル系建築の主流は厳しいコスト管理である分譲マンションを中心とした乾式モザイク工法が主流。「タイル貼り」という手間暇かけたっぽい見栄えが琴線に触れるのだろうが、本件のように一枚を手間暇掛けて綺麗に貼り付ける案件は新築マンションでは一般的にまず存在しない。それは高層化した建築物に対する外壁の落下安全性である一方で、結局は手間と工期とコスト絡みであることは否めないし、ときに供給側として事業側面を知るに致し方ないのも十分理解。

 

結局、富と労働力の都市的集約を事業性=コストで判断する、という資本主義で鑑みるに仮説の答えは一つ出よう。すなわち事業生産に対する税制が、仮にも素敵な外壁である割肌、あるいはスクラッチタイルといったカッコいい外壁仕上げを遠ざけてしまっているのであるならば、今の都市や街の景観を形成する建築物っていうのは、それが為におざなりにされたと考えると残念でならない。もはやそれらをグロス製造する企業は存在しないと聞く。そうは言っても、この現状を理解しつつ今後の街並みを作って行こうよって賛同する方々が居れば、当然街は賑やかになるし楽しくなる。リノベーション、都市再生の規制緩和、過疎的な地域創りの勃興、昨今の古来既存のモノゴトを再評価する民藝風土、それこそ我が8人力の版築&左官部の「志」しかりである。

 

やはり、歩いていて楽しい街であるならば、それは先人達が残してくれた貴重な街の財産であって魂に他ならないし、街は人がいてこそ磨かれ、人もまた街によって磨かれ活気が生まれ育まれ、愛情を抱き街を主体的に考える人の数で決まるもの。言うならば「この街が好き、だから住みたい」と思えるような街へと導くことが可能であれば、街は元気でいられると考えるのです。

 

このビルを見上げるに、、前述の項を鑑みるに、、自分自身それらユーザーの「ひとり」として。
すなわち使い手たるユーザー目線で「創る」ということ。これが新しい発見に出逢えると思うツボなんだろう。
まあ、、そんなこんなで僕自身も ”うだつを上げ” 日々精進することに勤しみたい。





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