【ミラノへの道】 カオリマス編① まずは酒盛から / 8ninriki.jp
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2016.03.26
13タイトル
【ミラノへの道】 カオリマス編① まずは酒盛から


writer
小林 哲治

 

「枡で酒を飲む」 誰が最初に思いついたのだろう?

計量することが枡本来の役割であるはずなのに、計った傍から飲んでしまうなんて、どんだけ呑んべぇなのかと先人を尊敬するばかり。

21マス原型

昔から道具にはノートや机など四角いものと、コップやスプーンなど丸いものがあって、口や目に当てるものはフィット感を求めて曲線を描いています。つまり四角は論理的に丸は感覚的に使われるものが多くいようでです。
その点、枡は計量という目的から計算しやすい直方体となった訳で…にも関わらず、日本人は四角い器「枡酒」という文化を思いつきました。
なんという面白い発想、お酒が大好きな私にはその気持ちが良く分かります。

 

お祝い事や新酒の蔵開きで振舞われる枡酒の美味しさと言ったらもう…。
新酒と杉や桧の香りが口の中に広がっていく感覚……。
酒好きならあの一口を想像するだけで、軽く幸せな気分になれるはず。

 

けれど気になることもあります。
枡はどうにも飲みにくい。
口当たりが厚すぎたり、飲み干す時にこぼれてしまうことも。
それが良さだと前向きに捉えることもできるが、もう少し何とかならないものか。

そんな長年のモヤモヤを解消すべく、人の力設計室とハダシデパレードのOB陣が集まって、チーム「ミラパレ」を結成し、新しい枡の製作に取り掛かりました。
テーマは飲みやすくて色んな木の香りを楽しむ「カオリマス」。

 

22酒盛

まずは酒盛をしながら、どんな可能性があるのか話し合いです。

枡は日本で植林されている杉や桧を使い、アリ組という美しい木組で作られており、正直完璧なフォルムです。
この構成を崩さないよう「一つ足す」「一つ引く」をキーワードに、飲みやすい形態と、新しい香りの可能性を追求してゆきます。

 

23スタディ

やはり建築系のさだめなのか、とっかかりに模型から始めてみます。
枡の大きさと比率、飲みやすさや注ぐ楽しみ、香りやすさを模索するため、いろいろな形態を試してみます。

 

ある程度まで形が決まったら、次はモックアップ。
製作担当は株式会社田中工藝の田中くん。彼が夜な夜な枡を作ってくれました。

 

24モックアップ

さて、どれが香りが立って飲みやすいでしょうか?
ミラパレ各自、自慢の肴を持ち込んで打合と称した飲み比べ大会です。

 

25試飲

う~~~ん…どれも捨てがたいですが、ここから一つを選んでプロトタイプを作成しなくてはなりません。
酔っ払いながら話し合った結果、飲みやすさを優先してtypeDが選ばれました。

 

26プロトタイプ

今度はtypeDのディテールを詰めていきます。
呑口の角度や側板の厚さ、そして肝心な漏れない組み方。というのも、市販の枡でも使っているとだんだんお酒が漏れてくるものも少なくありません(木が水分で膨張するためかと思われる)。

 

271st

これらを調整して、ようやく漏れない枡が完成したのが2月の中旬でした。

あぁぁもぅ、締め切りがすぐそこ!!!
締め切りこわいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!

 

そして、これと平行して進めていた樹種集めも困難を極めていました。
ご存知の通り世界的に森林は減少しており、ほとんどの樹種が伐採禁止の状態になりつつあります。
そのため流通している種類は少なく、あとは倉庫の隅に残された半端な木材を探すしかありません。

なかなか集まらず困っていると、株式会社九銘協の峯さんが登場。カオリマスのサンプルを見て、眼が光りました。
140種類くらいある樹種リストを眺めながら、これはある、ないなぁと、つぶやいています。

 

28木材

気合の入った峯さんと一緒に倉庫へ行くと、貴重な材を探し出してくれて、分けてくださいました。
峯さん、ありがとうございます。

更に田中くんからも連絡があり、愛知県で仏壇を製造している株式会社水金さんが協力してくださると朗報が入りました。私も見たことがない貴重なアフリカ材を送ってくれるとのこと。水金さん、ありがとうございます。
気が付けば、目標だった30種を大幅に超える51種の木材が集まりました。

 

が、しかし、今度は大量に集まりすぎて、生産が追いつかない事案が発生。
せまる締め切り…。連夜の夜なべで疲労する田中くん……。
ここで新たなる助っ人が現れます。

 

29製材

田中くんの友人、杉野建具製作所の金谷さんが製作に参加してくださいました。
「削っていると、香りがすごい!」とのこと。
金谷さん、ありがとうございます。

 

 

30部材

それでも締め切りまで余裕がありません。
まだ160個の枡を組立てる作業が残っています。
そこで更にミラパレと現役はだぱれから助っ人を募り「マスヲミガキ隊」を結成。

 

人の力が集まれば、良い物ができます。

 

カオリマスを完成させるために、急遽田中くんのいる豊後高田へ。
二日間の合宿で、カオリマスを皆で仕上げていきます。





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