「Echoes Infinity -永遠と一瞬- 」 大巻伸嗣 / 8ninriki.jp
Review


2016.12.5
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「Echoes Infinity -永遠と一瞬- 」 大巻伸嗣


writer
片岡 佳苗

あっという間に過ぎたような今年の秋。食をコツコツ、運動、芸術はほんの少し楽しむくらい。
でも、心に残る現代アートとの出会いがありました。

 

あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラバンサライ。

名古屋地区、岡崎地区、豊橋地区 の3つの街を舞台に、「現代美術の「今」に触れる」(キャラヴァンガイドブックより) 愛知県の芸術祭は、今年で3回目を迎えました。

現代アートの楽しみ方をイマイチつかめていない人間ですが、SNSを見て気になった写真。 #あいとり #大巻伸嗣 のタグ。

閉幕まであと数日。行きたいけど自分の想いが一方的に大きくなりすぎているだけだったら愛知でぽつんと落ち込みそう。

でも、決めなくちゃ。ほとんど予習もしてないけど行こう。

深夜、愛知行を決めさせてくれたのはやっぱりその写真達でした。

落ち込んだ時は、味噌カツ。食べて帰ろう。

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△イエローのポスターや旗が街とアートをナビゲーション

 

他にも慰めを考えながら、写真で見た作品が展示されている 愛知県芸術文化センター 愛知県美術館 に向かうと、色とりどりの結び目でできた作品とイエローのTシャツを着た人が迎えてくれました。どうしても見たくて福岡から日帰りで来たことを伝えると、気持ち良く送り出してくれて俄然気持ちが上向きに。よし、行こう。

 

そして色々な現代アートを見て歩いてたどり着いたところ。

ここからがどうしても見たかった作品の始まりです。

 

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ここを抜けてたどり着くと、

 

 

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「Echoes Infinity -永遠と一瞬 -」 大巻伸嗣

 

白い壁と天井、中心から広がる鮮やかな色彩。草花や果物、動物の文様。

汗がひいた。場の静けさ。境界線がなくなって広がる。

空中に大きく広げられたお花畑みたいで、行ったことないけど亡くなった後の世界を想像する。どういう思いが込められてるんだろう。

 

床はタイルカーペットのようにカットされた白いフェルトが敷き詰められ、そこに日本画の砂状の顔料(岩絵具)で型紙を使って文様が描かれています。大巻伸嗣さんと大巻さんのゼミ生が中心になって作られたとか。時間と手間をかけて緻密にできあがっていく製作過程が映像に記録されていました。

 

そう言えば、うっすら雪が積もっているみたい。

え? うっすら雪?この写真、そんな風には見えないけど?

 

実はこれ、ミュージアムショップで購入したポストカードの写真なんです。多分、建築で言うところの竣工写真、作品が出来上がってすぐ、芸術祭が始まる前のタイミングで撮影されたものではないでしょうか。どおりで(笑)

 

では、私が見たうっすら雪が積もっているっていうのは、どういう世界だったのか。

 

 

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私が見たのは、こんな感じでした。床に寄って見ると、

 

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鮮やかな文様が白っぽく見えます。

でもこれ、上から白色の顔料をふりかけて足しているのではなく、文様を描いた顔料が散らばって形がぼやけて薄くなっているように見えるんです。

 

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どんどん散らばって動いている顔料の小さな粒。床に描かれた文様の上を人が歩いてこうなっているんです。

 

この作品は、入口と出口を結ぶ一辺の通路、一方向から見るという鑑賞スタイルでしたが、芸術祭閉幕まで残り1週間というタイミングで、好きなところを歩いてどこからでも自由に鑑賞することができるようになりました。

始めからそう考えて作られた作品であること、今だから好きなところで好きなだけ見れることを学芸員の方に教えてもらって、予習をしてこなかったことを大反省。大巻さんのお話を聞きたいなぁと思っている時、地元の小学生でしょうか、賑やかな声で子ども達が入ってきました。

あ、空気が変わった。

 

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大人と違ってスマホもカメラも持っていない子ども達は、床に柱に近寄って、体全体を使ってさっと作品に入り込みます。

 

好きなところに歩いて散らばって、

 

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しゃがんで、ぼやけた紋様にそおっと触れている子もいました。

 

それまで感じていた明るさの種類が変わった気がする。広場のような感じ。何かこう健康的で自分でも見たことのあるような。

 

その時、思わず私がやったこと。大きく体を開いて深呼吸。

空気がきれいな場所でもないし、富士山の上にいるわけでもないのに、なぜか屋外にいるような気分になってやっていたのでした。

私、深呼吸なんかしちゃって。可笑しい。

 

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味噌カツをすっかり忘れて帰福。

初めて読んだ大巻さんのインタービュー記事と、その中にあった「砂絵曼荼羅のような作品」 という文字。

あの時、この作品に込められた思いを自分なりに受け取ることができ、その先まで感じていたような気がしてほっとしました。

でも、もっと見たかった。もっと変化していくのを見たかった。

 

■あいとりNAVI 大巻伸嗣インタビューその① -Echoes Infinity-

 

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愛知を出る前に見た 穂の国とよはし芸術劇場PLAT の 「重力と恩寵」。

建築にスケールアウトするように入った光る壺と動く影もおもしろかったです。傍で勉強する高校生やおしゃべりする街の人、この作品を見て過ぎ行く人もいて。

こんなに大きくて見たこともない特別なものが、ちゃんと日常に入っているような気がしました。

 

■あいとりNAVI 大巻伸嗣インタビューその③ -重力と恩寵-

 

またこんな芸術に出会いたい。





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