お地蔵さんの家 / 八人力版築部 / 8ninriki.jp
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2017.03.23
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お地蔵さんの家 / 八人力版築部

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いまだかつてなく重要で小さなプロジェクトは突然はじまる。

 

クライアントは素敵な夫婦の土地に間借りをしていたが、土台は雨風で朽ち始め、傾いた住まいは次の台風が心配になるような状態だ。心配になったその素敵な夫婦はその建て替えを決断し、私たちに白羽の矢が立った。私たちで良いのだろうかと少し戸惑いながら、きっとクライアントから選ばれたのだから何か意味があるのだと自分に言い聞かせながらプロジェクトは進んでいく。

 

そもそもクライアントは私が生まれるずっと前からそこに住んでいて、新しく生まれた子達を守り、その寿命を延ばすというといわれているような存在であり、まさしく子供の守り神と言っても過言ではないであろう。その上、この地域は昔戦争があったらしく、クライアントは彷徨える霊たちの拠り所であるのは間違いない事実であった。

 

一回目の提案の後、素敵な夫婦の負担と、クライアントの想いに触れる事で、私たちは当たり前にその棲み家を作ることをやらない覚悟を決めた。 クライアントはそれを私たちに望んでいないのは明白な事で、その家が存在し続けるという命題のために実験を続けた。素敵な夫婦は私たちの動きを見守り、その初まりを粘り強く待ってくれた。 もう後戻りはできない! 建築は素敵な夫婦たちの祈りと共に初まりをむかえる。

 

現場はいつも困難で素直に進む事をゆるさなかったが、私たちは必死になってクライアントが立つであろうその足元を締め固めた。これから後世もずっとそこに立ち、町を守り続けていくことなるであろうクライアントの居場所が土という不変の素材で層をなし、力強く現れていった。

 

理解ある職人たちの協力の上、そこにフワッと、笠をさすように屋根が被さり雨風を凌ぐ棲み家が生まれた。 私たちの生み出したこの棲み家が本当に正しい形であったのかはわからない。ただわかることは、引き渡しを終えた時に頂いた素敵な夫婦からのありがとうという言葉と、クライアントがふと微笑んだ様に感じた感覚だけである。

 

 

「お地蔵さんの家」

施 主 : 延命地蔵+素敵な夫婦
設 計 : 八人力版築部
施 工 : 八人力版築部+木楽工房
写 真 : 針金 洋介 / 針金建築写真事務所

 

ある町のある民家の端にそっと建つ、延命地蔵がまつられた地蔵堂の建て替えプロジェクト。
須弥壇は版築という土を突いて何層にも締めかためる工法でつくられいる。

お地蔵さんの家ができるまで : http://8ninriki.jp/archives/category/review/八人力版築部

 

 

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